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身に覚えのないストーカー扱いで被る不利益をわかりやすく解説

「身に覚えがないのにストーカー扱いをされている」
こんなときに、どんな不利益があるのかは気になるところでしょう。
身に覚えのないストーカー扱いで被る不利益について解説します。

ストーカーとは

法律上、ストーカーとは、つきまとい行為など一定の規制対象となる行為を繰り返し行う「ストーカー行為」を行う者のことを指します。
ストーカー行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)によって取り締まられています。

例えば、恋愛感情から相手につきまとい続ける行為などは典型的なストーカー行為です。

ストーカー扱いされるとどうなる?

実際にストーカー行為を繰り返している場合には法律に基づいて規制の対象となっても仕方がないと言えるかもしれません。しかし、中にはストーカーの心当たりがないのにストーカー扱いを受けてしまうことも一定数あります。
ストーカー扱いされると、次のような流れで対応されることとなります。

まずは、ストーカー被害を訴える側が警察にストーカーについて相談します。その上で、警察が被害を訴える人から話を聴き取り、対応を検討します。

警察がストーカー被害が存在していると考え、対応することとした場合には、ストーカー加害者とされる側にストーカー規制法に基づいて「警告」が発せられることとなります。

ストーカー規制法の「警告」は、これ以上ストーカー行為を繰り返さないように警告するものです。通常は、ストーカー加害者とされる側に警告書を交付して警告がなされます。

警告をしても足りず、実際につきまとい等の行為を禁止しなければならないと考えられたときには、警察によりストーカー規制法に基づき「禁止命令」が出されます。禁止命令は、文字通りストーカー規制法で規制対象となっているつきまとい等の行為を禁止することを命令するものです。禁止命令が出される際には、聴聞や弁明の機会が付与されます。

禁止命令に違反してさらにつきまとい等のストーカー行為繰り返す行為は、犯罪とされています。そのため、禁止命令を無視して禁止されたストーカー行為を繰り返すと、逮捕されることもあります。
逮捕されると、引き続き勾留がなされ、起訴されて刑事裁判を受け、有罪判決が下されて前科がつくこともあります。

ストーカー扱いをされるとこのように様々な制約が身に降りかかることとなります。身に覚えがあるならまだしも、身に覚えがないのにこのような制約がかかってしまうことは、大きな不利益であると言えるでしょう。

身に覚えのないストーカー扱いを争える?

身に覚えのないストーカー扱いは、段階に応じて争えることもあれば争うことが難しいこともあります。

まず、ストーカー加害者として扱われ、「禁止命令」まで出されている場合には、禁止命令の取消しを求めて行政訴訟を提起することができます。これは、禁止命令が行政処分と考えられており、取消訴訟の対象となるとされているからです。

もっとも、行政訴訟を提起して禁止命令を取り消してもらうことはハードルが高いです。一般的に行政訴訟での勝訴率はあまり高くなく、裁判所に禁止命令の誤りを認めてもらうことは難しいことが多いです。行政訴訟には基本的には長い期間がかかる傾向にあり、長い期間をかけて戦い抜くことが必要ともなります。
禁止命令を行政訴訟で争うことは可能ですが、大変な労力がかかることは覚悟しておきましょう。

次に、禁止命令の前の段階の「警告」について争うということが考えられます。しかし、警告について「警告が出されたのは誤りだ」として争うのは難しいと考えたほうがよいです。

従来、ストーカー規制法に基づく警告は、「行政指導」の一つ、すなわち、「法的効力」がないものと考えられており、行政訴訟を提起して争うことは基本的にはできないものとされていました。弊所で取り扱った案件を含め、これまでに警告について行政訴訟で争われた例は存在しますが、令和6年大阪高裁は、最終的に、ストーカー警告について取消しの対象として扱わないという判断を下しています。しかし、上記のように従来は「法的効力」がないものと門前払いされていたストーカー警告については弊所の徹底した弁護により、裁判所は「法的効力」を認めているのです。さらには、ストーカー警告の取消訴訟以外の救済手段、実質的当事者訴訟(警告が無効であることを確認する訴訟)についても、従来の解釈を覆し、一定の場合にはストーカー警告を争う余地を認めているのです。このように弊所では、従来、冤罪の場合でも争うことができないとされていたストーカー冤罪について鋭く司法のメスを切り込み、冤罪の場合の救済手段を拡大することに成功しているのです。

とはいえ、ストーカー警告が出てしまってから、現時点では、裁判で争うのが難しいのです。そうであるからこそ、警告が出される前に警告が出されないように警察に働きかけるのが合理的な対処法です。

ストーカー扱いされそうになったら、警察に詳しく事情を説明し、自身がストーカー加害者ではないことを説明するようにしましょう。また、この際には弁護士に依頼して代わりに警察に説明してもらうという方法をとってもよいでしょう。弁護士に依頼して代わりに説明してもらうことで、より冷静かつ論理的に警察に自身の言い分を伝えることが可能になります。これにより、本当にストーカートラブルの加害者ではないということが伝われば、警察は警告などの対応をしてこないことも期待できます。

まとめ

身に覚えのないストーカー扱いを受けると、ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令などの措置を受けることとなり、行動が大きく制約されてしまいます。禁止命令を無視すると逮捕のリスクもあります。

身に覚えのないストーカー扱いを争うことは難しいことも多いですが、警告が出される前の段階で警察に自分はストーカーではないということを伝えることができれば、身に覚えのないストーカー扱いを防ぐことが可能となります。その際には弁護士に代わりに説明してもらってもよいでしょう。

身に覚えのないストーカー扱いは、なるべく早い段階で誤解を解くように働きかけることが重要です。

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